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アルバイトのまかない無料は違法ってホント?課税から免れるための方法も解説

育成・教育・定着
2023.4.17
  1. # まかない
  2. # 離職率改善

飲食店の求人などで「まかない無料」という訴求をみたことはありませんか?

飲食店でアルバイトを探している方にとって、まかない無料は魅力的な文言であり、バイト先を選ぶ1つのきっかけになることもあります。

しかし、まかない無料は場合によっては税務上の問題になる可能性があるため、注意が必要です。

この記事では、飲食店経営者にとって、どのようにまかないを提供すればいいかを解説します。

もし、まかないを無料で提供している飲食店の方がいらっしゃれば是非最後まで読んでください。

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実際バイトのまかないは違法なの?

結論から申しますと、まかない無料は税務上の観点から違法となっております。

一見余った食材や具材などを利用して従業員に提供するものなので、まかないを無料で提供しても問題ないと思われるかもしれません。

しかし、まかないは税務上「現物給与」という区分に入るため、課税対象となります。

現物給与とは、給与を物品や住宅手当などの金銭以外で支給することです。

通常、給料を金銭で払う場合、その金額に応じて所得税が発生し給料から天引されます。

しかし、物品や住宅手当などを現物支給すると、本来払うべき税金が引かれていません。

現物給与をすると、その分源泉徴収をしなければならず、本来よりも多く税金を納める必要があります。もし、必要な分の税金を納めず、税務調査でまかない無料について指摘されれば、支払っていない分の所得税と不納付加算税を支払う必要があります

まかないを無料にしていた場合にかかる税金

では、仮にまかないを無料で提供していたことが、税務調査で指摘された場合どれくらいの税金を収める必要があるのでしょうか?

ここで、下記のケースで考えていきます。

  • 平均して1日当たりに働いてるアルバイトの人数:3人
  • 月の営業日数:26日
  • まかないの材料費:300円
  • まかないは1日1回支給

この場合、年間の現物給与は

3人×26日×12ヶ月×300円=280,800円

税務調査は通常の場合は3年間分の資料を確認しますので

280,800円×3年=842,400円

仮に1日に働いてるアルバイトの人数が多かったり、材料費が高かった場合、さらに高い金額となります。

また、これらにかかる税金は、従業員が自分で税務署へ支払うのではなく、お店が源泉徴収して税務署へ支払うのが基本的なルールです。

仮に、支払いがもれていた所得税に対しては、不納付加算税(10%)という罰金が課せられます。

そして、税務署に指摘された時点で辞めている従業員に対しても、この計算は行われます。

辞めた従業員からその分を返してもらうことは簡単ではないため、辞めた従業員から徴収できない分は最終的に、オーナーが負担することになります。

このように、まかないを無料にしたことで税金を余計に払う可能性もあるため、まかないを無料で提供することは避けるようにしましょう。

ただ、アルバイトにとってまかないは飲食店で働く魅力の1つであり、求人票などにまかないの表記を入れたいお店もあるかと思います。

そのようなときには、まかないを現物支給ではなく、課税対象に当たらない「福利厚生費」として計上すれば問題ありません。

まかないを福利厚生費にするためには

まかないを現物給与ではなく福利厚生費にすることで、課税から免れることが可能になります。福利厚生費にするためには、次の二つの要件をどちらも満たす必要があります。

①従業員が食事(まかない)の金額の50%以上を負担していること

②(食事の価格)-(役員や使用人が負担している金額)が1ヶ月あたり3,500円以下であること

例えば、アルバイト1人辺りに、月に20回ほどまかないを出し、1食の材料費が300円ならば、

①バイトは、まかない金額の150円(半分)を負担

②150円×20回=3000円

これであれば、2つの条件を達成しているので、課税対象からは外れ「福利厚生費」として処理が可能ということになります。

一方、アルバイト1人辺りに、月に20回ほどまかないを出し、1食の材料費が400円ならば、

①バイトは、まかない金額の200円(半分)を負担

②200円×20回=4000円

このような場合は、②が3,500円を超過しているため、差額分の500円は現物給与として、課税対象になります。

まかないを有料化しても既存アルバイトが不満を抱かないような対策

これまでまかないが無料だったものを今後有料化した際に懸念となるのは、既存のアルバイトから不信感を抱かれる可能性があることです。

まかない無料が税務的に違反になると説明することで、アルバイトもその場では納得するかもしれません。しかし、まかないを頼む度に金銭を請求されるとなると、これまで払っていなかったものにお金を払うようになるため、人によっては不満を感じるかもしれません。

このような事態を避けるために「まかない料金は給料から天引き」「給料にまかない分の料金を上乗せする」などの対策をするのがおすすめです。

また、福利厚生費に収まるようにするために、予め回数制限を設けるようにしましょう。

まずは、まかないについての明確なルールを作り、アルバイトの方に理解を深めてもらいましょう。

まかないを支給するメリット

ここまでのまかないのルール解説から、「まかないを支給するのは面倒くさそうだからまかないを廃止にしよう」と思う飲食店経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、まかないを支給することには明確なメリットがあります。

ここでは、まかないを支給する下記の3つのメリットについて解説します。

  • 求職者からの応募率アップ
  • 提供している料理について詳しくなり正確な説明ができるようになる
  • 仕事へのモチベーションアップ

求職者からの応募率アップ

求職者は、まかないの求人にプラスの評価を持ちやすいです。求人サイトでも「まかない・食事補助付き」の項目が設けられており、人気ワードになっている傾向にあります。

そのため、○○円でまかない提供可能といった表記をすれば求職者からの応募率が上がる可能性が高いです。また、求人内容にまかないで提供する際の具体的なメニューを記載すれば、より求職者の関心を集めることができます。

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提供している料理について詳しくなり正確な説明ができるようになる

飲食店で働いていると、「おすすめのメニューはある?」や「これはどういった料理なの?」という質問がくることもしばしばあるかと思います。

その時にまかないとして自店の料理を食べたことがあれば、お客様により詳細に料理の説明やおすすめができるかと思います。

また、このような接客は、お客様とのコミュニケーションにも繋がり、お店の評価を上げることに繋がってきます。

仕事へのモチベーションアップ

まかないがあるだけで仕事へのモチベーションはアップします。

特に一人暮らしの人や学生にとっては、食事代の節約にもなります。また、まかないメニューのメニューが美味しければ、スタッフに喜ばれること間違いありません。

まとめ

飲食店でのアルバイトに無料でまかないがつくのは当たり前だと思っている方も少なくありません。

所得税などについて詳しくないアルバイトにとって、まかないにお金を要求するのはケチなお店だと思うかもしれません。そのような不満を防ぐためにも、アルバイトに対してまかない無料は税務的リスクがあることをきちんと説明して納得してもらいましょう。

仮に税務調査でまかない無料が指摘されたときにはもう手遅れです。

まかないをうまく活用して従業員のモチベーションを上げつつ、応募率アップを図りましょう。

横井拓人

ひとむすび立ち上げメンバー(2022年12月)。飲食店の大きなお悩みである求人・採用から、スタッフの育成や定着、労務、集客まで幅広く情報を発信しています。 飲食店の経営者・人事担当者様にとって価値ある記事をお届けし、お役に立てるよう精一杯頑張ります!

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