- # 離職率改善
飲食業界の多くの方にとって、従業員が定着してくれないという悩みを抱えている方は少なくないかと思います。飲食業は他の職種に比べ離職率が高い傾向にあり、さらに昨今の労働人口の減少に歯止めがかからず飲食店への応募数も減少しています。
そのため、飲食店の経営者は離職率改善のために何かしらの対策を行わないと人手不足を解消することが難しい状況です。
本記事では、飲食業界の離職率がなぜ高いのかと、飲食店で働く従業員の定着率を上げるための方法を紹介しています。
飲食店経営者の方向けに書いており、従業員の離職率を下げたい方はぜひご覧ください。
飲食店で人手不足にお困りの方に必見の記事!
目次
飲食店は全業界で離職率が一番高い
飲食店の離職率は非常に高いと言われていますが、実際どれくらいなのでしょうか。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、2022年における離職率は産業全体の平均が15%に対し飲食業は26.8%にものぼります。
これは全業界の中でも1番高い数値であり、飲食業界の離職率が特に高いとわかります。
飲食業界の離職率が高い理由
では、なぜここまで飲食業界の離職率が高いのでしょうか?
飲食業界の離職率が高いと考えられる理由はいくつか考えられますが、大きな原因となっているのは下記の4つです。
- 休みたいときに休めない
- 教育制度が整っていない
- 業務量が多い
- 将来のキャリアビジョンが見れない
これについて詳しく紹介します。
休みたいときに休めない
飲食店は土日や祝日がかきいれどきのため、世間一般の休日に従業員は休みを取りづらいです。そのため、土日休みの友人や家族との予定が合わない、週末に開催されるイベントに参加できないなどの制約がつきます。
また、24時間365日開いてる店も増えてきており、飲食店における1人1人の労働時間が長くなっています。さらに、人が足りていないことで有給も取得しづらく、休みを取りたいのに取れないという状況も珍しくありません。
このように、働く曜日や長時間労働、さらに休みも取れないということに負担に感じ、仕事を辞める方が多くいらっしゃいます。
教育制度が整っていない
人員不足により、新しく入ったスタッフを教育する環境が整っていないことも退職原因の1つです。
求人票では、充実した教育制度と書かれているにも関わらず、人手不足から新人にきちんとした教育ができないということが多々見られます。なんの教育もないまま、いきなり1人で業務をやらされると、従業員はその職場を不安に感じ、それが離職に繋がってしまいます。
業務量が多い
飲食店では、メニューや調理方法を覚えるのはもちろんのこと、会計の仕方やお皿の位置を覚えるなど業務量が非常に多いです。また、調理と提供だけでなく、食材などの入った段ボールの納品などの重作業をすることもあります。
このように飲食店では業務量が多いため、従業員によっては仕事を覚えられず、それがストレスとなって離職に繋がることがあります。また、前述した教育体制が整っていないことも重なると、より離職率を高めてしまうことになります。
賃金が上がらない
飲食は他の業界に比べ給料が低い傾向にあります。また、働いたら賃金が上がるという制度だったら納得できますが、中小の店では評価制度がオーナーのさじ加減で昇給や昇格が決定することが少なくありません。
そのため、評価制度がしっかりと定まっていなければ、一生懸命仕事を頑張っても給与に直結するわけでもありません。そのような状況では、飲食店の従業員は将来に希望が持てなく離職に繋がってしまいます。
従業員の離職率を改善するための3つの方法
飲食業界での離職率が高い理由を挙げてきましたが、どのようにして対策を行えばよいのでしょうか。ここでは従業員の離職を改善するための3つの方法を紹介します。
- ITシステム導入で業務の効率化
- 評価制度の構築
- 採用時のミスマッチを防ぐ
ITシステム導入で業務の効率化
従業員の業務負担を減らすことで、仕事に対する満足度が上がり、離職率の改善に繋がります。業務の負担を減らすために、ITシステムの導入をし、業務を効率化するようにしましょう。
ITシステムを導入すると、以下のようなメリットがあり、飲食店で働く従業員にとって非常に働きやすい環境になります。
- 予約・注文のミスが減る
- 業務が楽になる
- 時間に余裕ができサービスの質が上がる
ITを導入できる場面は複数あり、店舗ごとでまず何が必要か従業員と話しあって決めるとよいでしょう。実際に、ITを導入できるシーンとしては、下記のようなものがあります。
- タブレットを用いてオーダーを取る
- キャッシュレス決済の導入
- テンプレートからのメニュー表の作成
- 予約管理のIT化
ITシステムを導入するとなると高額なイメージもあるかもしれませんが、現在は数万円からでもITシステムを導入することが可能となっています。そのため、新しい人材を採用するまでの費用などを考えると、ITシステムを導入して離職率改善に取り組んだ方が安上がりのケースもあります。
離職率改善以外にも、さまざまなメリットがあるため、飲食店経営者の方はまずITシステムを導入するのはいかがでしょうか。
評価制度の構築
評価制度は従業員のモチベーションに関わるものであり、評価制度を見直すことで離職率の改善に繋がることもあります。
そもそも、従業員がモチベーションを保つには、仕事にやりがいを感じているかどうかが関わってきます。仕事に対するやりがいとは、自分の行ったことがきちんと評価され、それが昇給・昇進に繋がるかどうかです。
そのため、評価基準が曖昧で何をすれば昇進・昇格するかわからなければ、従業員のモチベーションを上げるのも非常に難しくなってきます。
従業員のモチベーションが上がるような評価制度を構築するために、明確な評価基準を作るようにしましょう。例えば、就業ルールを守っているかや、自分の部下を育て店舗のレベルアップに努めているなど評価シートを作成し、それを従業員に共有すると効果的です。
また、従業員のモチベーションが上がることで、従業員全員、店舗全体の生産性を上げ、売り上げの向上にも繋げることができます。
採用時のミスマッチを防ぐ
求人票の内容と実際に働く環境にミスマッチがあると、離職に繋がることがあるため、求人票には正しいことを記載しましょう。
例えば、求人広告では週2日から勤務OKとあったのに、働いてみると「もう少し出られないか?」と聞かれるなど、求人票に記載した労働条件と実際の業務に乖離があると、せっかく採用した従業員は不信感を感じてしまいます。
また、求人には『教育制度もばっちり』と書かれているのに、忙しくて教育体制が整っていなかったという職場もよく見られます。店舗にとっては小さなことでも、慣れない新人にとっては不安に感じるきっかけになることもあります。
応募してもらうために現状とは異なる表記をしてしまうと、採用はできても結果的には従業員の早期離職を招く可能性があります。再度求人を出すことになるとその分採用費用が膨らむため、求人票には正しいことを記載してミスマッチのない採用を心がけるようにしましょう。
まとめ
飲食業において、人なくして経営が成り立つことはありません。
従業員が働きやすい環境を提供することで、それが結果的にお店の成長にも繋がります。
従業員の業務量を減らすようなITシステムの導入や、評価制度の構築を行うなどして従業員の定着率を上げるようにしましょう。
今後、労働人口の減少から新規応募を獲得するのはますます厳しくなってきますので、従業員の離職率を下げて、お客様へのサービス向上ができる体制を作っていきましょう。
ひとむすび立ち上げメンバー(2022年12月)。飲食店の大きなお悩みである求人・採用から、スタッフの育成や定着、労務、集客まで幅広く情報を発信しています。 飲食店の経営者・人事担当者様にとって価値ある記事をお届けし、お役に立てるよう精一杯頑張ります!