採用面接において、求職者に対し聞いてはいけないことがあることはご存じでしょうか?仮にそのような質問をした場合、求職者に悪い印象を与えるだけでなく、内容によっては、法的措置を取られる可能性もあります。
また、「やばい質問をする会社」のような評判がSNSで拡散されてしまったら、会社の信用に悪影響を及ぼしかねません。
面接は求職者について知る機会でもありますが、同時に求職者も会社のことを見ているので、相手を尊重した質問をすることが重要です。
今回の記事では、面接担当者向けに聞いてはいけない質問について解説しています。
これまで、面接においてタブーな質問がないと思っていた方には是非参考にしてみてください。
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目次
採用選考の考え方
まず、聞いてはいけない質問リストを見る前に、採用選考における基本的な考え方について解説します。
厚生労働省の「公正な採用選考の基本」によると、採用選考では「応募者の基本的人権を尊重すること」と「応募者の適性・能力に基づいて行うこと」の2点を基本的な考え方として、公正に実施しなければならいと発信しています。
では、公正な採用選考を行うためには、どうすればいいのでしょうか?まず、応募の段階で就職差別が起きないよう、応募者に広く門戸を開くことが重要です。言いかえれば、雇用条件・採用基準に合った全ての人が応募できるようにしなければいけません。
また、公正な採用選考を行うということは、家族状況や生活環境といった、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないということです。
そのため、応募者の適性・能力に関係のない事柄について、応募用紙に記入させたり、面接で質問することなどによって把握しないようにすることが重要です。
これらの事項は採用基準としないつもりでも、把握すれば結果としてどうしても採否決定に影響を与えることになってしまい、就職差別につながるおそれがあります。
特に、職業安定法第5条の4及び平成11年告示第141号によって、特定事項の個人情報を収集することは禁止されています
NG質問リストについては、これらの考え方を基に作成されております。
面接でNGな質問リスト
「公正な採用選考」を実施するために会社から聞いてはいけないNGな質問がいくつもあります。それらの内容についても、厚生労働省がまとめていますので、そちらを基に解説します。
まず、NG質問は「本人に責任のない個人情報に関する事柄」、「本人の自由であるべきことに関する事柄」、「男女雇用機会均等法に抵触する事柄」の3つに分けることができます。
それらを細分化したときに、以下のようなリストが質問NGの項目となります。
本人に責任のない個人情報に関する事柄
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること
- 住宅状況に関すること
- 生活環境や家庭環境に関すること
本人の自由であるべきことに関する事柄
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観、生活信条に関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
- 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
男女雇用機会均等法に抵触する事柄
- 容姿に関すること
- 入社後の結婚・出産予定の確認
また、ハローワークが実施し厚生労働省がまとめたアンケートによると、面接で最も多いNGな質問は「家族に関すること」で回答者の40.5%も占めます。
※引用:厚生労働省「公正な採用選考の基本」
これらを踏まえ、面接で聞いてはいけない質問について個別に紹介します。
本人に責任のない個人情報に関する事柄
面接時、本人に責任のない事項の把握は聞いてはいけない質問の1つです。
それらを選考の参考にすると、特定の応募者に不当な不利益が発生する可能性があるからです。
1. 本籍や出生地に関すること
- あなたの本籍地はどこですか?
- 生まれてから、ずっと現住所に住んでいるのですか?
- 生まれてから同じ場所に住んでいますか?
これらの質問をすることで、公正な採用選考から同和関係者や在日韓国・朝鮮人の人たちを排除してしまうことになりかねません。
また、「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることも禁止されています。
2. 家族に関すること
- あなたの家の家業は何ですか?
- あなたのお父さんは、どこの会社に勤めていますか?
- あなたの両親は共働きですか?
家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当するため、これらの内容は聞くべきではありません。
3. 住宅状況に関すること
- あなたの自宅の間取りを教えてください
- 賃貸住宅ですか?
間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設なども含まれるため、これらの内容はNGとされています。
4. 生活環境や家庭環境に関する質問
- あなたの自宅付近の略図を書いてください
- お父さん(お母さん)がいないようですが、どうしてでしょうか?
生活環境や家庭環境の状況を聞くことは、本人が努力で変えられない地域の生活水準等を知ることと同義です。
これらの質問は、応募者の適性・能力を中心とした選考を行うのではなく、本人の責任でないことで判断することに繋がるため、聞くべきではない項目です。
本人の自由であるべきことに関する事柄
思想や信条は憲法で保障されている個人の自由権に属するものです。それを採用選考に持ち込むことは、基本的人権を侵すことであるため、これらの質問はNGになります。
5. 宗教に関すること
- どの宗教に属していますか?
- 宗教を信じますか?
6. 支持政党に関すること
- 政治や政党に関心がありますか?
- あなたの家庭はどの党を信じていますか?
7. 人生観や生活信条に関すること
- あなたの信条としている言葉は何ですか
- 将来どんな人物になりたいですか?
8. 尊敬する人物に関すること
- 尊敬する人物は誰ですか?
9. 思想に関すること
- 今の社会をどう思いますか?
10. 労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
- 学校外で何か加入団体に入っていましたか?
- 学生運動をどう思いますか?
11. 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
- 家では、どのような新聞を購読していますか?
- あなたはどんな本を愛読していますか?
アイスブレイクなどで最近読んだ本について面接で尋ねることもあるかもしれませんが、思想や支持政党などに繋がる質問にもなりえるため、NGとされています。
男女雇用機会均等法に抵触する事柄
1985年に男女雇用機会均等法が成立してから、何度も改正が行われ、男女共に性別を理由とした差別的扱いが厳格に禁止されています。
選考だけに関わりませんが、合理的な理由のない限り男女の条件を平等にする必要があります。
12. 容姿に関すること
- スリーサイズは?
- なんでその髪型なんですか?
- 化粧派手じゃないですか?
容姿に関する質問はセクハラ発言になるので、聞いてはいけません。
13. 入社後の結婚・出産予定の確認
- 結婚の予定はありますか?
- 出産予定はありますか?
- 出産後も働けますか?
結婚、出産だけではなく、交際の有無などの質問もNGとされています。
もしNGの質問をしてしまったら
もし、面接でしてはいけない質問をしてしまったときに会社側はどのようなリスクを負うのでしょうか?
職業安定法5条の4で「その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない」と規定されています。
法違反については、行政指導や改善命令等の対象となる場合があり、さらに改善命令に違反した場合は、罰則(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科せられる場合もあります。
また、現在多くの方がSNSを利用していることもあり、情報の拡散するスピードは非常に早いです。
面接で不快な質問をされた求職者が、SNSを用いて質問内容を書き込むと、あっという間にその情報が広まって会社のイメージダウンにも繋がることもあります。
評判が悪くなることで、応募者の減少や、従業員の離職、取引先からの信用を失うリスクもあります。
そのようなリスクを避けるためにも、必ず上記のNGな質問リストを念頭に置き、聞くべきことだけ質問をしましょう。
面接で聞くべきこと
面接ではNGな質問内容が複数ありますが、面接を行う理由は求職者が自社に合うか見極めるために実施するものです。
そのために、ここでは面接で聞くべきことについてのことも解説します。
職務経歴
- これまでどのような職務を経験し、何を学びましたか?
職務経歴についてはその人のスキルや経験がわかることで、本人の努力次第で変わってくる項目のため聞いて問題ありません。
詳しく聞くことで、その人のスキルや経験が自社にマッチするか判断することができるため、積極的に質問しましょう。
志望動機
- どうして当社に応募したのですか?
- 今回の転職で重視している点は何ですか?
志望動機を知ることで、自社への志望度や何を基準に転職活動を行っているか確認することができます。
これらについては、業務に関することなので質問しても問題ありません。
ストレス耐性
- 仕事でどのようなときにストレスを感じますか?
業務において負荷がかかった際に乗り越えられるかどうか、どのようにしてそれを乗り越えたかといった質問をすることでストレス耐性を確認できます。早期離職や定着率などの観点から、年々注目が高まっており、長期定着できるかどうかを見極めるためにも、実施したい内容です。
まとめ
選考活動において、就職差別が起きないような面接を必ず行う必要があります。
法律上聞いてはいけないことがいくつかありますが、求職者を見極めるために聞いておいた方がいいこともあります。
そのために、面接でどのような質問をすべきか予め知っておきましょう。
ひとむすび立ち上げメンバー(2022年12月)。飲食店の大きなお悩みである求人・採用から、スタッフの育成や定着、労務、集客まで幅広く情報を発信しています。 飲食店の経営者・人事担当者様にとって価値ある記事をお届けし、お役に立てるよう精一杯頑張ります!
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