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飲食店の求人票・求人原稿へのみなし残業の計算と表記について

求人・採用・選考
2023.1.26
  1. # indeed
  2. # 労務管理

飲食店の採用担当者にとってよくある悩みの1つとして、求人票を作成するとき、みなし残業についてどのように表記をすればいいか分からないというものが挙げられます。給与にみなし残業が入っているかで求職者の応募のモチベーションも変わります。

そのため、みなし残業を正しく記載することで求職者とのミスマッチを減らし、採用確率を高めることが可能となります。

今回はみなし残業についてや求人票にみなし残業代を記載する注意点などについて紹介します。

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みなし残業とは

みなし残業とは「毎月決まった時間、残業をしたものとみなし、決まった金額を残業代として支払う」仕組みを言います。
一般にみなし残業は「固定残業代制」と「みなし労働時間制」の2種類に分けることができます。

「固定残業代制」とは実際の労働時間に関わらず、毎月一定時間の残業をしているとして、固定の残業代を基本給に含める制度です。原則として、月に何時間分の残業代が含まれるかを予め定めておく必要があり、定めた時間がみなし残業に当たります。
固定残業代制は職種に限定なく適用できます。

「みなし労働時間制」は企業が実際の労働時間を把握しづらい職種に対し、実際に働いた時間とは関係なく、毎月〇〇時間働いたものとして、その分の賃金を支払う制度です。

定めた労働時間のうち、1日8時間を超えた時間がみなし残業に当たります。

営業職や在宅勤務などに適用されるケースが多くみられます。

一般的にみなし残業は前者の固定残業代制を指し、本記事でもこちらについて解説をします。
また、誤解がないよう、以下みなし残業代は固定残業代と表記します。

固定残業代のメリット・デメリット

では、固定残業代を導入するメリット、デメリットはなんでしょうか。

固定残業代を導入する場合以下のようなメリット・デメリットがあります。

固定残業代のメリット・デメリット
メリット1時間外手当の計算を一部省略できる
メリット2賃金の総額を多く見せられる
メリット3従業員のモチベーションを高められる
メリット4人件費の把握がしやすくなる
デメリット1正しく払わないと訴訟リスクがある
デメリット2固定残業代にマイナスのイメージを持たれやすい

ここでは、固定残業のメリット・デメリットを紹介します。

固定残業代のメリット

1つめのメリットとして、固定残業内の時間ならば時間外手当の計算を一部省略でき、事務手続きを軽減することができることです。

2つめのメリットとして、固定残業代を賃金に上乗せすることによって、支払われる賃金の総額を多く見せることができ、見栄えをよくすることができます。
ただし、求人票の表記に固定残業代を上乗せしていることを必ず書かなければならず、それを記載しなければ違法となるため注意が必要です。

3つめのメリットとして、労働者側からすると時間外労働をしないほうが得であるため、効率的に業務を進めようとモチベーションを上げて仕事をするようになるからです。
これにより、従業員の労働の生産性が向上する効果も期待されます。

4つめは、人件費を把握しやすくなることです。
残業代は月によって異なるのが基本のため、月単位で人件費が大きく変動してしまうと、飲食店にとっては資金繰りの計画が立てにくくなります。
一方、固定残業代ならば、毎月の残業代がどのくらいかかるのか把握しやすくなります。

固定残業代のデメリット

1つめのデメリットは、正しく固定残業代を払わないと訴訟リスクがあることです。
固定残業代については飲食店と労働者の間でトラブルが発生しやすく、裁判に発展することも少なくありません。
仮に、固定残業代について裁判で争われ、かつ飲食店が敗訴するということは、「固定残業代は無効」と判断されることを意味します。固定残業代が無効となると、飲食店はこれまでの残業代を適法に支払ってこなかったことを意味し、新たに残業代を支払うことになります。

2つめのデメリットは、固定残業代にマイナスのイメージを持たれやすいことです。例えば、固定残業代を導入していれば、月にどれだけ働いても一定の残業代を支給するだけで、それ以上は支給されないといったものです。

このようなマイナスイメージを与えないため、飲食店は固定残業代制度について求人票ではっきり説明する必要があります。

固定残業代の表示について

固定残業代を記載する際にいくつか気を付けなければいけない点があります。

求人票に固定残業代を記載する際に知っておかなければいけないことを紹介します。

固定残業代は表示が義務付けされている

固定残業代は2015年から法律によって求人票に表示が義務付けられています。この背景に、募集要項や求人票で「固定残業代」を含めた給与にも関わらず求人票に固定残業代を記載していないというトラブルが複数あったことが関係しています。

固定残業代は定額で月額支払われることから、従業員側からすると給与との区別がつきにくい仕組みと言えます。

しかも、以前は固定残業代の明確な規定もなかったため、求職者に誤認させるような表記をすることが可能でした。

それにより、求職者側がここの企業は基本給が高いと勘違いをし応募するケースもあったため、そのような問題をなくすために固定残業代の表示が義務づけられました。

固定残業代の記載方法

固定残業代制を採用する場合は、募集要項や求人票などに、次の①〜③の内容すべてを明示する必要があります。

① 固定残業代を除いた基本給の額

② 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法

(例)「30時間相当固定残業代60,000円を含む」

③ 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

(例)「40時間を超える時間外労働は追加で支給」「超過分は別途支給」

(参考:厚生労働省「固定残業代 を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」)

また、固定残業の導入前から雇用している従業員に対しては、給与辞令や労働条件変更通知書などで固定残業を導入することと上記の3項目を通知して合意を得る必要があります。

固定残業代の記載例

固定残業代の「金額」とそれ以外の賃金項目(基本給や手当など)と分けて明記することが絶対的なルールです。

そのため、具体的には下記のように記載する必要があります。

逆に問題となる表記は下記のようになります。

固定残業代の金額と、それに対応する残業時間が記載されていないため、適切ではありません。

このような表記では、求人を受理されない可能性があるため、必ず適切な表記をするようにしましょう。

固定残業代の計算方法

ここでは、固定残業代の計算方法を紹介します。

固定残業代の計算式

固定残業代を計算する場合は、以下で計算できます。

固定残業代=1時間あたりの賃金額×固定残業時間×割増率

これらの式を細かく見ていきましょう。

1時間あたりの賃金額

1時間当たりの賃金額は、以下の計算式に当てはめて算出できます。

月給(円)÷月平均所定労働時間(時間)

月平均所定労働時間は、以下の計算式で割り出すことができます。

1年間の所定労働日数×1日の所定労働時間÷12ヵ月

たとえば年間休日が125日、1日の所定労働時間が8時間の会社なら、月平均所定労働時間は以下のようになります。

(365日-125日)×8時間÷12ヵ月=160時間

そのため、基本給が32万円ならば、1時間たりの賃金額は以下のようになります。

320,000円÷160時間=2,000円

割増率

割増率に関しては、下記の表の通りになります。

対象条件割増率
 A 時間外労働25%以上
 B 深夜労働25%以上
 C 休日労働35%以上
 D 1ヶ月の労働時間が60時間を超えた分50%以上
 E A+B50%以上
 F B+C60%以上
 G A+D75%以上

※時間外労働:1日8時間、週40時間の法定労働時間を超える労働

固定残業代の計算例

ここで、実際の固定残業代の計算例を紹介します。

休日出勤や、深夜残業代がなく時間外労働のみで固定残業代を設定するときは下記のようになります。

深夜残業が含まれる時間外労働をするとなるときの固定残業代は下記のようになります。

このように固定残業をする時間によっても固定残業代は変化するため注意するようにしましょう。

固定残業時間を適切に記載し求職者とのミスマッチを防ごう

固定残業代を適切に記載することで、求職者とのミスマッチを減らし採用確率を高めることができます。
また、固定残業代を正しく支払わないと訴訟リスクがあり後々飲食店側が不利になるため、必ず正しい知識をつけるようにしましょう。

横井拓人

ひとむすび立ち上げメンバー(2022年12月)。飲食店の大きなお悩みである求人・採用から、スタッフの育成や定着、労務、集客まで幅広く情報を発信しています。 飲食店の経営者・人事担当者様にとって価値ある記事をお届けし、お役に立てるよう精一杯頑張ります!

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